無数のキラッキラに輝くエネルギーの粒が自分の身体を前から後ろに貫き続けていくという最高の経験をしたことがあるだろうか。一旦遥か高い天井にまで上がった煌めく音の粒が雨のようにパラパラ降り注ぎ、それを全身で受け止めて、それらが体の中を通って流れていく経験をしたことがあるだろうか。
ロシアのスーパーピアニスト、エフゲニー・キーシン/ Evgeny Kissin。
聴きに行ってきました、わざわざフランクフルトまで。
もの凄い体験だった。これだ、これを私は待っていた。
いや違う。いつも現実は期待を悠々と、次元までも遥かに超えて来る。
キーシンは私は今までも何度も聴いているのですが
今回はもうぶっちぎりで最高だった。
よく薬物依存の人が、ドラッグによってトリップするあの感覚が最高だなどと言ったりしますが、そして私はその経験がないので比較はできませんが、おそらくその1000倍を上回るトリップを経験できるぞ?いやホントに。しかも健康にいい、しかも合法、効果は何年も体に記憶に残り続けて反芻できる。
そしてお金はほとんどかからない。
だって今回の私の席
どうですこの超最高な席!一番いい席取ったった♪
本当に大事な所ではお金は出し惜しみしません。それでも60ユーロだもんね。1万円もかからずこんな経験ができるなんてどうにかしてるよ(褒めてる、最大限褒めてる)。
しばらく記事が書けなかったのは、コンサートのことを書きたかったのだけれど思い出すとついあの場のあの感覚に引き戻され、トリップしてしまってこっちの世界になかなか戻って来れなかったから。
未だに心地良すぎる痺れが止まらなくて。しかしようやく記事を書ける程度には現世復帰して参りました。
しかしね、後半全部ラフマニノフという最高のプログラムだったのですが
ロシア人画家 Leonid Ossipowitsch Pasternak の描いた、ロシア人作曲家ラフマニノフ
全身をホールいっぱいに広がる耳にして何一つ取りこぼさず全部受け止めるぞとずっと聴いていると、そんな中突然『覚悟』がどーんと私の中に入って来た。それはもの凄い覚悟だった。確かに右斜め前から、彼の覚悟の感覚と、はっきりと『覚悟』という漢字が入って来た。
そして分かった。
そうか、この人にとって愛とは覚悟なんだ。
私が感じたとてつもなく確固として揺るぎない、真っ直ぐで純粋で、だからこそ巨大な覚悟は愛に直結していた。愛から出ていた。愛と表裏一体だった。この人生は丸ごと音楽に捧げますという純粋な愛そのものだった。
そんな経験は生まれて初めてだった。
とてもじゃないけれど言葉では表現し切れないものすごい経験だった。
コンサートは8時から10時15分くらいまであったのだけれど、体感5分くらいで終わってしまった気がしたのです。
その後別のお部屋で公開インタビュー的なイベントがあったのですが、ご覧下さいよこれ。
左がキーシンさん↓
大の男たちがデレデレですよ。そりゃああんな演奏聴かされたら誰でもデレデレになるって。
やっぱり私が一番好きなのはここ。この音の世界。大切で絶対に必要な世界。
こんな演奏を聴けたからもう死んでもいいではなく、これを絶対にまたもう一度聴いてやろう、そのためにはその時までは頑張って生きなくちゃ!という魂のスーパー栄養補給。
こんな経験が人生で出来て私は本当に幸せ者です。楽器を習うということ、音楽をするということがこんなところに繋がってるなんて誰も教えてくれなかった。なのにこうして昔は想像も出来なかった最高の境地に触れることができている。なんとありがたいことだろうかと心の底から感謝しています。ここに私を導くことに少しでも関与してくれた存在に全力で感謝です。
ちょっと遠いので家に着いたら朝の3時でしたが、ホントにわざわざ行ってよかったー!
本日もお読みいただきありがとうございました。
今回のコンサートのお品書き、興味おありの方へ。
もう一度言いますけれど、後半全部ラフマニノフって最高かよ(最高でした)。
これは私が前回行ったWuppertalでのコンサート。
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