昔ニコール・キッドマンが
映画は総合芸術だ
と言っていたのですよね。
ふむ、確かにね。映画だと頭の中の世界をあらゆる手を使って丸ごと表現できるもんね。
と思いながらも、でも
ああ、確かにこれは総合芸術だ
と心から思った映画って思いつかなかったし、今までにもどれを見ても1度も思ったことがなかった。
ふう~。
それが。
これだ。これがまさに総合芸術だ。
と思ったのがつい最近子供たちと一緒に見たこれ。
ハンターハンターのキメラアント編の最後。
ハンターハンターってご存じない方の方が少ないとは思いますが、一応載せておくとこんな感じの少年漫画。
武術や特殊能力を身につけて、闘ってトレーニングして、闘って敗れてトレーニングして・・・で勝ち上がっていくドカーン!バチャーン!漫画なんでしょ?くらいに思ってましたよ、最初は。
でもそれだけじゃないんだよね。私は回を進めて見るごとに度肝を抜かれていましたよ。
だって私の頭の中ではTVアニメといえばこんな感じの
大昔、日曜の夜にやっていた世界名作劇場とか日本昔話なんかで止まってたから。
それが何十年も間を開けて見た日本のアニメはめちゃくちゃ凄かった。想像を遥かに超えるレベルUPを成し遂げてた。次元が違っていた。
そんなに登場人物山盛り出てきて、それぞれにストーリーが結構あって、しかもそこまで話の大風呂敷を広げて一体どう収束させていくんだろう??
と思いながら見てたのですが、まさかまさかの、そう纏めるのか!?心の奥底にまで深く深く流れ込んでくる、全く想像も出来ない観点と流れの終わりだった。
そんなに静かにしみじみと、これ以上なく美しく穏やかにまとめる術があったんだ・・・
神懸り過ぎで圧倒されっぱなし。何だよあの終わり方、反則も反則じゃないか(滝涙)。
絵が素晴らしいんだよね。絵の表現がホントに凄い。あれだけの人や虫が出てくるのに一つ一つのキャラ作りが濃い。間合いの取り方もすごいセンスだ。話の詰め方も哲学的ですらあった。安易に恋話やそれっぽい表現が出てくることが全くないのもとても良かった(私あれ苦手)。
そして私が気に入ったのが音の使い方。効果音とか効果音的音楽とか、一つ一つにめちゃくちゃ気合も熱量もお金も技術も妥協なく、最高レベルで投入してるよ。
ていうかこの作者さん、これものすごい命削りながら作ったでしょ?
と思って調べてみたら、漫画書くのに根を詰めすぎて腰をやられ、一時期椅子に座ることも出来なかったので床に腹ばいでずっと書いてらしたらしい。これはつらい・・・しかし、でしょうねと。で、今もまだ話は完結してないけれどずっとお休み中とか。うん、でしょうね・・・。
このストーリーセンスと絵の表現が元はたった一人の人から出て来たって、どういうこと??って思いましたもん。
創造力を使う仕事というのは突き詰めれば突き詰めるほど命を削るようなことになる。もちろんその辺を上手くバランスとりながら行ければいいけれど、ついもっともっとと命懸けでやってしまう。だからこそああいう作品が出てくる。
そして創造するということは産み出すということ。出産と同じなのですよね。出産も命懸け。創作活動も同じく命懸け。
だから両方とも鳳閣・調舒に属するのですよ。
この世(空想の世界もこちらに含む)とあの世の懸け橋になるということは、レベルが上がれば上がるほど能力と引き換えに差し出すものが大きくなる。それは普通の穏やかな生活や自由だったり、健康だったり、命だったり。
いや~、本当に素晴らしいものを見せて頂きました。
あのクライマックスの回は素晴らし過ぎて何回も見ちゃったわ。これは本当に総合芸術だ。作者は意味が分からないほどのまごうことなき天才だわ。
クライマックスまで行くのに結構話が長いですが、まだ見ていない人にはお勧めです。
本日もお読みいただきありがとうございました。
そしてこういうのも子供がいなければ私は絶対見なかったと思うのですよね。子供のおかげですね。ありがたいことです。
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