前回の記事の続き
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さて、毒リンゴを齧って倒れた後、ガラスの棺に入れられた白雪姫を一目見たどこぞのボンボンが気に入ります。
これがまたもう・・・
「この棺をわたしにゆずってくれませんか。そのかわりわたしはなんでも、おまえさんたちのほしいと思うものをやるから。」といわれました。
けれども小人たちは「たとえわたしたちは世界じゅうのお金をみんないただいても、こればかりはさしあげられません。」とお答えしました。
「そうだ、これにかわるお礼なんぞあるもんじゃあない。だがわたしは白雪姫を見ないではもう生きていられない。
お礼なぞしないから、ただください。
頭おかしい!
どうしてもこれが欲しい、何でも差し出すからくれ、というボンボンに
どんな大金積まれてもこれはあげません!という小人たち
そっか、じゃあタダでくれ!と全く辻褄の合わない自分本位な返事をするボン。
なんやこれめちゃくちゃヤバい奴やないか。
こういう成り立たない会話を堂々とする人間はホンマにヤバいので、皆様ご注意ください。
さて白雪姫が目を覚ましてからの会話です。
「 おやまあ、わたしはどこにいるんでしょう。」
それをきいた王子のよろこびはたとえようもありませんでした。
「 わたしのそばにいるんですよ。」といって
いやいや、だからあんた誰やねん(笑笑
大昔のこれ思い出したわ
ここでも会話が成り立ってませんよね。
どこにいるかと聞いているのに、わたしのそばです(キリッ)って、だからそれはどこやねんと聞いておるのだああ!
ここで白雪姫も
貴様何奴?名を名乗れ無礼者めが!
くらい言えればよかったのですが、如何せん弱冠7歳。
あれやこれやの経過を考えてもよくて10歳くらいでしょう。
「 わたしはあなたが世界じゅうのなにものよりもかわいいのです。
さあ、わたしのおとうさんのお城へいっしょにいきましょう。
そしてあなたはわたしのお嫁さんになってください。」といわれました。
そこで白雪姫もしょうちして、王子といっしょにお城にいきました。
しょうちすなー!!
そして 児童婚反対!
たとえばこの子ですら13歳ですよ。
(ソース)
白雪姫はよく見積もっても10歳。何ならまだ7歳かも知れません。
もう一度言いますが、うちの双子男児も7歳なのでよく分かる。
7歳ってめちゃくちゃ小さくて子供ですよ?とにかく小さい。まだアルファベットも全部習ってないくらい。
そんな7歳に、若くて外見が綺麗というだけでがっつり食らいつく
自分本位な、会話として成り立たないやり取りしかできない(多分成人済み)ボンボン。
白いピチピチのタイツを履いて白馬に乗った、父親の家でまだ居候してる、7歳児にギラギラする変態王子。
まずい。めちゃくちゃまずいぞ。
まだお城で継母に虐待されてたり、一思いにあの世に行っていた方が全然マシかもしれないレベルでまずいです。
7歳でとりあえず婚約はしますけれど、結婚するまでちゃんと10年とか待ちますからね。
それまでゆっくり色んな勉強をしたり芸事を身に付けたり楽しく過ごしましょう。
結婚はそれからでもいいのですよ。もしその時に嫌なら結婚をやめてもいいのですよ。
もちろんあなたが嫌なことは一切いたしません、約束します。
なんて言わんからね、絶対言わん。変態紳士やもん。
白雪姫のことを本当に大切に思うのであればそれくらいのことは言うでしょう。
ていうかええ年してるんやから、それくらい頭が回る人格者じゃないと結婚なんてやめた方がいいわ。有害一択。
7歳の美しさにこそ価値がある!それを我がモノにせず何とする!と自分のことしか考えてない。
だいたいその時の描写がこれ
王子はふと山の上にきて、ガラスの棺に目をとめました。
近よってのぞきますと、じつにうつくしい少女の からだが はいっています。
しばらくわれをわすれて見とれていました王子は
美しい少女がそこにいた、だけの描写でもいいじゃないですか。
わざわざ『 からだが入っている 』と書かれたのは何故か。
おい、グリム兄弟。私はその意図せんとしたところをしかと読み取ったぞ。
そもそも7歳だろうが17歳、27歳だろうが、被虐待児・被虐待人は自尊心が極端に低く
最悪どん底の環境しか知らないので、それよりほんの少しだけマシそうに見える環境ですらその方が断然マシと
しょうもない餌に食いついて更なるどん底に陥る可能性が高いのです。
そのどん底とは、自分本位にしか世界を捉えられないDV・モラハラ野郎にロックオンされて逃げづらい世界。
やっぱり自分が奴隷のように人権無しに扱われ搾取され続ける世界。
その深淵に一歩足を踏み出してしまった白雪姫。
その一方であれやこれや熱心に変装したり小細工したりコツコツ努力をしてきた継母はどうなったかと言うと
人々がまえから石炭の火の上に、鉄でつくったうわぐつをのせておきましたのが、まっ赤にやけてきましたので
それを火ばしでへやの中に持ってきて、わるい女王さまの前におきました。
そしてむりやり女王さまにそのまっ赤にやけたくつをはかせて、たおれて死ぬまでおどらせました。
おしまい。
そう、ここでグリム兄弟作白雪姫の話は終わっている。だからこそ私は『 毒母の物語 』だと思うのです。
白雪姫の人生はこれから本格的に始まるでしょう?
だって彼女は、自分がドブ家系出身ということすらまだ分かってない。
そして変態紳士(推定)に目をつけられ拾い上げられた。
ドブ家系から早い段階で離脱できたのは良かったかもしれない。
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しかし変態紳士との結婚生活で果たして幸せを掴めるのか。
自分の置かれた状況を正確に把握し、自尊心を回復し、強く生きるための力を身につけ、更なる一歩に踏み出せるのか。
それとももしかするとその変態紳士は変態紳士でなく、まともな思考を持って白雪姫を大切にしてくれたかも知れませんね
( 上記の状況を鑑みるにその可能性は極めて低い )
また、私が単なる毒母とせず『 マイルド毒母 』としたのは、彼女が白雪姫を一思いに亡き者にしようとしたからです。
本格派毒母はそんな甘い措置、思いつきもしません。
子供を骨の髄まで自分に都合のいい奴隷に仕立て上げ、一生涯身近に置きどちらかが死ぬまで搾取し続ける。
子供が幸せを感じそうになったらキレ散らかし、全力で妨害し
『 そんなことしてる場合かー!私はこんなに可哀想なのに!
私!の!世話!を!しーろー!!!
お前のせいで!私は!こんなに!可哀想~~~うぁぁっぁぁあぁぁ!!』
と子供の罪悪感を掻き立て、鬼の形相で迫ってきます。
老後の介護もさせて当然。
それに比べれば白雪姫の継母は毒の度合いがマイルド。可愛いものです。
ところで、挿絵を随所に挟みましたが、これは私が子供の頃持っていたそれはそれは美しい絵本からのもの。
ネットで探したらありました。もちろん持っていたのは日本語バージョンです。
本当にこれくらい白雪姫も王子様も年齢が釣り合っていて、ある程度の年齢であればいいですよね。
また、白雪姫の抜き書きはこちら菊池寛訳のものを使わせて頂きました。
最初にこれを記載しなかったのは、菊池寛といえば『 恩讐の彼方に 』じゃないですか?
そうするとどうも
罪滅ぼしに始めた大岩を穿つトンネル掘りに人生を捧げ、ほぼ飲まず食わずで風呂にも入らず
あらゆる欲を捨て去り髪はぼろぼろに抜け落ち、白い肌は煤けて黄ばみ
がりがりに痩せて頬もこけ落ち仏の化身のようになった白雪姫を想像してしまい
白雪姫が樋田の刳貫に第一の槌を下してから二十一年目の夜であった。
この夜も石工どもはことごとく小屋に退いて、白雪姫と実之助のみ、終日の疲労にめげず懸命に槌を振っていた。
その夜九つに近き頃、白雪姫は「あっ」と思わず声を上げた。
その時であった。
朦朧たる老眼にも、紛れなくその槌に破られたる小さき穴から
月の光に照らされたる山国川の姿がありありと映ったのである。
白雪姫は「 おう 」と全身を震わせるような名状しがたき叫び声を上げたかと思うと
それにつづいて狂したかと思われるような歓喜の泣笑が、洞窟をものすごくうごめかしたのである。
みたいに頭の中でイメージが混ざってしまいそうだったからです(笑
いや、混ざるよね?
コメント
私は親が嫌いでなんとか脱出した者です。ですが、毒親育ちってまず周囲の理解が得られない言葉もちろん、普通育ちが身につけた自尊心や一般的な社会常識がごっそり抜けてます。その上、家族というセーフティネットがないので人生ハードモードですね。
まさに仰る通りなんですよね。
虐待と言っても0か100かじゃなくグラデーションであり、他人のプライバシーには立ち入らないという慣習や
家の恥だから隠すという傾向、他人の揉め事なんか面倒だから知らんがな、というメンタリティも相まって
本当に助けが必要な人、特に子供が見殺しになってるんですよね。
その辺も書きたいなと思って書き始めてるのですが、如何せんすごい量になってなかなかまとまらず・・
大変さが分かる分皆何とか生き延びてくれ!と常に思っています。
白雪姫の継母が、マイルド毒親との解釈その通りだなと思いました。
いわゆるママ母が、子供に嫉妬してただただ抹殺したいという周囲からも解りやすい目立つ毒ですものね。
世間には目立たず、周知されもしない名もなき人間の、その子供にだけ長期的に作用する名もなき毒の方がたちが悪いです。。
目の前から毒親が居なくなって舞台がかわってからも、今までの毒をどう希釈するか自分との戦いですね。
※綺麗な絵本ですね!
そうそう、目立ちにくい分かり辛い毒親ほど有害なものはないですよね。
そしてホント、毒親から離れて長い解毒期間を何とか乗り越え、自分の人生を取り戻すのがものすごく大変だけどすごく大切。
途中で挫折してしまうのも本当によく分かる。だからこそ今苦しい人にも何とか乗り切ってもらいたいのですよね。