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白雪姫はマイルド毒母の物語(1)

 

『 白雪姫 』って可哀想な女の子の話のフリしてるけど、実はあれ毒親の物語です。

以前にも書こうと思って書きかけてたのを、最近子供たちのための寝る前の読み聞かせでこの話を読んで思い出したわ。

 

白雪姫の実母はまだ白雪姫が生まれる前に思います。

どうかしてわたしは、雪のようにからだが白く、血のように赤いうつくしいほっぺたをもち

このこくたんの(窓)わくのように黒い髪かみをした子がほしいものだ。

まあね、女の子だったら可愛い子が生まれるといいなあ♪くらい思いますよ、誰でも。

でも何その外見主義。

健康で明るくて愉快な、利発な子がいいなあ♪とか中身に関すること一切なし。

中身はどうでもいい。『 ただし美人に限る!』主義。

可愛い子供連れてたら道行く人に『 まあ可愛い娘さんがいていいですね~』って褒められるもん!

皆に羨ましがられてちやほやされたいもん、そのための最強アイテムになれるような子が欲しいんだもん!

虚栄心万歳!許永中万歳!(違)

 

女王さまは、このお姫さまがおうまれになりますと、すぐおなくなりになりました。

これ暗喩ですよ。出産後、毒親スイッチが本格的に『カチッ』と入り変身したことの描写です。

 

一年以上たちますと、王さまはあとがわりの女王さまをおもらいになりました。

その女王さまはうつくしいかたでしたが、たいへんうぬぼれが強くわがままなかたで

じぶんよりもほかの人がすこしでもうつくしいと、じっとしてはいられないかたでありました。

ハイ~、ここで白雪姫のお父さんトロフィーワイフGet!

ってこれ本当は実母が出産後、本格的にその本性を現し始めたって描写だと思うのだよね。

そして注目すべきは、この話の中で王様(白雪姫父)が出て来るのは後にも先にもここだけ!

完全に空気。存在感ゼロ。家族の一員なのにそこにいない人。これ凄い重要。

 

さて皆様ご存知、Spieglein Spieglein an der Wand… 鏡よ鏡よ鏡さん で、女王が鏡に

一番綺麗なのはあんたちゃうで。白雪姫や。

と言われたのは

お姫さまがちょうど七つになられたときには、青々と晴れた日のようにうつくしくなって、女王さまよりもずっとうつくしくなりました。

白雪姫、弱冠7歳の時!

7歳って小学校1~2年生ですよ。むちゃくちゃ子供で小さいわ。

そんな ≪ まだまだ守ってあげるべき小さな子 ≫ に本気の全力で敵対心剥き出しにします。

女王さまはこのこと(=1000倍綺麗)をおききになると

びっくりしてねたましくなって、顔色を黄いろくしたり青くしたりなさいました。

はい、機能不全家族の本格派毒親に育てられた皆様はご存じのとおり

子供が7歳だろうがもっと小さかろうが、全力で敵視し本気で叩き潰しにかかります。

歳の差なんて関係ない、お前は目障りなライバルなのだと。

 

女王さま、ここではあなたがいちばんうつくしい。けれども白雪姫は千ばいもうつくしい。

鏡も遠慮なく追い打ちをかけます。

いやいやそこは黙っとけよ、1000倍って正確な数字出して本当らしさを増すなよ・・という感じですが

これ女王のの比喩だよね。自分の心の中では自分が姫には太刀打ちできない、ボロ負けなのよく分かってる。

同じ土俵に立つことすらできていないのをよく知ってる。

だからこそ許せない。白雪姫叩き潰す!

叩き潰せればこの我がイライラは収まるはず。いや、多分収まると思う・・・いやいや、あまり考えんとこう。

自分が白雪姫より綺麗になる努力は面倒だからイヤ、別の部分で魅力を伸ばして素敵になろうとか考えるだけでも面倒臭いわ

そうじゃなくて私を私のまま、今のありのままの私をそのまま受け入れて1番だと言ってよ!!

何で駄目なのよ?!何が悪いっていうの?白雪姫?白雪姫なんだな?あいつが原因、あいつ許せん(ゴゴゴゴゴ・・・

 

ね?本来白雪姫何の関係もないんですよ。

自分で自分を認められない、受け入れられない、極端に自尊心が低くだからこそ極端に表向きのプライドだけは高い女の

個人的イライラのとばっちりを食らってるだけ。

たとえ白雪姫がブサイクだったとしても、やっぱり同じようにとばっちりを食らうわけです。

綺麗だろうがブサイクだろうが、頭脳明晰だろうがアホだろうが、鏡がAと言おうがBと言おうが関係ない。

目の前にある手っ取り早いサンドバッグに齧りついてぶちのめし続けるのみ。

イライラを発散しようとするのみ。

その原因を探ってそこに向かい合い、何とか対処しようとは絶対に思わない。

これが毒親の所以。毒人間の所以。

そのサンドバッグが毒親の元に生まれた子供の使命。

 

さてそれからというものは、女王さまは白雪姫をごらんになるたびごとに、ひどくいじめるようになりました。

そしてねたみとこうまんとが野原の草がいっぱいはびこるように、女王さまの心の中にだんだんとはびこってきましたので

いまでは夜もひるも、もうじっとしてはいられなくなりました。

この描写のリアルさを見ると、作者のグリム兄弟はもしかして毒母のもとで育ったんちゃう?と思うのですがどうなのでしょう。

 

さてその後は皆様ご存じのとおり。

女王は狩人に、目障りな白雪姫を森で殺害させようと思い

わたしはもうあの子を二どと見たくないんだから。

おまえはあの子をころして、そのしょうこにあの子の血をこのハンケチにつけてこなければなりません。

怖いです。でも死んでいない白雪姫。

それを知った女王=白雪姫の継母で白雪姫の父ちゃんのトロフィーワイフ

どうにかして白雪姫をころしてしまいたいものだと思いまして、またあたらしくいろいろと考えはじめました。

女王さまは、国じゅうでじぶんがいちばんうつくしい女にならないうちは、ねたましくてどうしても安心していられないからでありました。

 

もう一度言いますが、相手は弱冠7歳の子供です。

 

じぶんの顔を黒くぬって、年よりの小間物屋のような着物を着て、だれにも女王さまとは思えないようになって

白雪姫に近付きます。そして紐で首を絞め殺そうとするものの、これまた未遂。それを知った女王は

からだじゅうの血ちがいっぺんに胸によってきたかと思うくらいおどろいてしまいました。

白雪姫がまた生きかえったということを知ったからです。

「 だがこんどこそは、おまえをほんとうにころしてしまうようなことを工夫くふうしてやるぞ。」

 

諦めない。こつこつ頑張る。計画を練る。忍耐力持久力あり。集中力凄い。

そーのーエネルギーと能力をーもーっと建設的につーかーえーよぉぉー!!

 

しかし別の婆さんに化けた女王が毒のついた櫛を白雪姫に渡し、白雪姫は倒れたもののまた未遂。

未遂の女王。未遂の達人。未遂マイスター。未遂のプロ。未遂のことならお任せ下さい。

どこまでも不運でどんくさいのかも知れない。でも諦めません勝つまでは!

そしてまだまだ未遂は続きます。

 

ここでようやく毒リンゴが出てきますね。変装すること3回。

ようやく鏡からも『 白雪姫死亡速報 』お墨付きが出ます。

これで女王さまのねたみぶかい心もやっとしずめることができて、ほんとうにおちついた気もちになりました。

7歳の子供を亡き者にして小躍りする中年女性。ほんとうにおちついた気持ちになる中年女性。

自分が一番に返り咲けたし『 可愛い子供を無くしてお気の毒に 』と皆の関心を引けるし、一石二鳥だぜ!と。

ヤバいです。怖いです。でもこれぞ毒親。被害者ポジションは蜜の味。

 

しかしここまで読んで皆様お思いになりませんか?

おい、白雪姫の父親。そこにおるんやろ?お前何やっとんねん?と。

 

長くなったので次回に続きます。

白雪姫はマイルド毒母の物語(2)その時父親は
この父親。 家庭内で殺人事件が起ころうとしているほど状況は悪化しているのに、あたかも家庭は順調であるかのように外向けには振舞う。 家庭内では出来るだけ存在感を消し、家庭問題から逃げ続け、無視し続け、臭いものに蓋をして解決とする。

 

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