さて、昨日の記事の続き:
オペラの一幕
ある音楽番組で司会者に
今までの歌手生活における最大の大失敗と、どうやってそれと気持ちの中で折り合いをつけたのか?
について聞かれます。
その時の彼の話。
( フランスのエクサンプロヴァンスにおける、自分にとって初めてのイタリア語でのオペラ、ドン・ジョヴァンニ公演の時の話 )
フランス人の監督が僕の役柄をホモの男性として演出しようと思ってたんよ。
彼自身も女性に全く興味なくてな、それは全然ええねんけど
歌も大事やけどドン・ジョヴァンニはキャラクター演出が何より重要やねん
で、モーツァルトはそもそも
この人ホモですよ♪
なんていっこも書いてないし
僕はドン・ジョヴァンニのあるべき姿でやりたい
でも変な格好はさせられるわ、こんなこんな ( = オネェ仕草 ) でやって言われるわ
相手はフランス人でドイツ語出来へんし
僕のフランス語も知れてるし
互いに英語で会話しようとするねんけどイマイチ通じへんし
もう嫌でいやで仕方ないながらもめちゃ我慢してやってたら、よ?
初演の2日前
気管支やられて声カスカス。
海に行ったら気分も変わってちょっと良くなるかなと思ってホテルのそばの海に行って帰ってきたら
右耳がいきなり聞こえなくなる。
更に次の日
人生初のギックリ腰 よ。
しかもそれ日曜日 ( ヨーロッパでは基本日曜は全て閉まる )
そのフランス人監督に電話しても 『 ええから歌え 』 連呼するだけやし
しゃあないから何とか開いてる薬局探してペニシリンの注射してもらって
とりあえず舞台に立ったけど
当然もう無茶苦茶よw、酷評の嵐やったわ。
それからどうやって立ち直ったかって?
立ち直っとらん。今でも胸が痛むわw
15年経ってやっと名誉挽回・・・
じゃなくて大衆は忘れてくれたんよ、ただ忘れてくれただけ。
ホンマあれは最悪やったわ
< WAHAHAHAHAHAA
みたいな笑い話の後、いきなり歌う のですが
動画43分40秒あたりから
さっきまでめっちゃ面白い話してたのに
パッと切り替えて完全に歌に入り込んでる
当然と言われれば当然ですが、でもすごいよなぁ。
しかも 音楽評論家を名乗ってた司会者がいきなり伴奏。
こっちもすごいやん
しかも せっかくのナマ歌、途中から電波途切れてるしww
いやいやいや頼むよ、Unterbrechungってなんでよ~
めちゃくちゃもったいな~ぃ
再度命式確認
彼はスーパースターとして世界を飛び回ってあちこちの舞台で歌っていたのですが
ずっと奥さん ( 番組に一緒に出演している女性 ) もついて来ていたらしいです。
オシドリ夫婦だったらしい奥様の誕生日が分からないのが実に残念
子供は3人いるけれど、子育ては完全に奥さんのご両親に丸投げ、と。
そうなんだよね、ソロの音楽家として世界を飛び回って活動する場合
( ほぼ動き回らなくていいサラリーマン音楽家であるオーケストラの一員みたいな形態でない限り )
子育てと音楽活動なんて両立は無理なのよ、ムリムリ。
彼の歌は本当に良くてあれもこれもここでご紹介したいのですが、あと一曲だけ。
私が本当に好きなのは以下のような
その情景、 静寂 の美しさが目の前にぱーっと再現されるようなものばかりです。
とにかく静寂が好き。
特にこの動画1曲目の “ 月夜 ”
ロベルト・シューマンの作品です。
シューマンについては以前も少しだけこの記事で触れています:
( 歌詞意訳 )
それはまるで天が地に静かに接吻したような夜だった
花びらに反射する微かな光の中
天が地に想いを寄せずにはいられないような夜だった
風が野原を駆け
麦の穂が静かに波打った
森は静かに囁き
星々がくっきり煌めくような夜だった
私の魂はその翼を大きく広げ
まるで帰路につくかのように静かな大地を飛翔するのだった
この
森は静かに囁き
星々がくっきり煌めくような夜だった
のところでいつも あの黒い森の美しさ ( ← 以前記事に書いています ) の音や澄んだ冷たい空気感
静寂や色、匂いを思い出して、その表現のリアルさ、美しさに身震いします。
僅かに風が吹いた時に森の木々や葉っぱが揺れて
聞こえてくるあの独特の静かなカサカサといった音、懐かしい。
ああ、黒い森に行きたいなあ・・・
さて、明日は
【 傷官+帝旺 】その4: 日本の漫画家、画家偏
です!
コメント
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>ゆにさん
応援ありがとうございます~!
笑っていただけるのが何より嬉しいです^^ ←関西人
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ドイツ語はわかりませんが佳代さんの和訳が面白くてなんだか立ち直れなかった深刻さよりも笑えてしまいます(笑)
佳代さんの芸術解説いつも楽しみにしてます!