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自分の置かれた状況について把握し、誤魔化さないということ

 

昨日の記事の続き:

泥臭い活動の積み重ねが“本当の世界をこの世に伝える”変換機の役割をする
ピアニスト、エフゲニー・キーシンのドキュメンタリー。 たった14分半ながらもすっごい濃い。 ていうか余すところなく本気で生きている人って、どの瞬間を切り取っても凝縮度が半端ない。 すごいわ。すごい。 この人が演奏しているところを横から映して...

 

この動画の中で、キーシンは最近になって政治に興味を持ち始め意見表明せずにはいられなくなったと言っています。

無関心ではいられないと。

 

彼はソ連出身ですがユダヤ系の人なのですね。

それが原因で子供の頃は虐められたようです。

更にペレストロイカからソ連崩壊までの政情不安定で、ご両親も周りの人も彼にソ連を出ることを勧め

結局イスラエルの国籍を取得して今現在はチェコのプラハ在住。

 

1990年代前半、どの国に移住しようか考えた時ドイツも候補に挙がったのだけど

その頃ドイツでは外国人排斥の波が大きく

それに巻き込まれたくなかったからやめたのです

 

お聞きになりました、皆さん?

1996年に裸一貫楽器一本だけで誰の助けもなく渡独してきた

私の苦労を想像して一緒に泣くところですよ、ここ!(笑

 

 

いやいや、そんなことが言いたかったわけではなく。

 

この中で彼は言います。

西側諸国の人たちは、とても優秀で善良で頭脳明晰な人でも自国を非難しまくる

でも彼らは、特に左翼系の人たちは共産主義国の残忍さや恐ろしさを全く分かっていない、知らないんだよ

自国の政治に関して批判的な目を持つのは必要なことだ

けれども他の政治体制の国に住んだことがないと、どれほど自分たちが恵まれているか想像も出来ないんだ

 

他の政治体制の国に住んだことがないと、自分が置かれている・置かれていた状況は分からない

 

これ。

以前に書いた全く関係ないように見えるこの記事 ↓ から繋げたかったのは

冒険者と羊たち(1)
「 旅人たちは私達の土地を見て、自分もずっとここに住みたいというんだよ。 」 「 でも僕は彼らの住む土地を見たいんです。彼らがどうやって生活しているかも見たいんです。 」 ( 中略 ) 「 これはある時野原で見つけたものだ。これをお前に残す...

実はまさにこのテーマなのです。

私は共産主義国から民主主義国へ移住したわけではないので、それほど体感の差はないと思われるかも知れない。

これは他国に結構長い時間住んでみて、しかも政治に意識を向けていないと分からないことですが

その国の政治体制がどうなのかというのは国によって大変な差があります。

それによって国民の生活も、メンタリティーも滅茶苦茶変わってくる。

自分はしっかり独立した意思があると思っている人でも、人間というものは被洗脳動物なので

知らず知らず周りの環境にとんでもなく大きな影響を受けている。

1つの世界しか知らないと人間あっさり「 これってこういうものなのだ 」と思ってしまうところがあります。

政治とはこういうものなのだ

国とは、社会とは、学校教育とは、家庭生活とは、親子関係・異性関係・友人関係とは、人生とはこういうものなのだ、と。

真面目で素直な人ほどあっさり「 そういうものなのだ 」と受け入れてしまう。

真実を求めるのではなく変化を嫌う「 このままでいいじゃないですか 」という同調圧力の強い環境では特にそうでしょう。

 

私はその点素直で真面目ではなく(笑)中学生あたりから

国は政治が中心で動いているんでしょ?

てことは、自分の住む国の政治については分かってなきゃダメだわな

と思っていたので、まだ漢字も言葉も全て分からないなりに新聞の政治欄を毎日一生懸命読むような変わった子でした。

もちろん当時は、政治が・社会がといった大きな枠組みに疑問を抱くところまで行っていたわけではなく

もっと身近な教育システムや家庭の在り方、親子関係などについてしょっちゅう

良しとされているそれは果たして本当なのか?

どう考えてもおかしいだろ、これ

いくらでも改善の余地はあるのに何なんだ?

と強く思っていたわけです。

若年期の龍高星がギラギラに本領発揮しまくっていましたね。

 

そして時を経て全く違う国に住む今思うことは、私の当時の感覚は正しかったということ。

そして私が新聞の政治欄を読んでいた頃に比べて、今の日本の状態は遥かに酷いことになっているということ。

外から見ていて思うのは、今の日本を一言で表すと「 臭いものに蓋 」

日本を一つの有機体だとすると、毛細血管の隅々にまでぴっちり「 臭いものに蓋 」精神が行き渡ってる。

その結果誰が割を食らうかというと、子供、体の弱い人、経済力がないなど弱い人たち。

でも何かあってもそういった弱い存在に全部皺寄せを被せ、「 お前らさえ黙ってりゃ綺麗にことは進むんだ 」と

全力の圧力で口封じ。

 

いじめ?もみ消しましょう。

親が虐待?親御さんはあなたのためを思って言っているのにその態度は何なの

配偶者がDV?あなたの態度がなっていなかったのでしょう?

性犯罪?どうせ誘うような格好してたんでしょう?自己責任。

失職?ちゃんと仕事してたの?努力した?自己責任。

原発が爆発?核汚染なんてないけど?風評被害!

モリカケ?まだそんなこと言ってんの?意識高い系?(冷笑

PCRテストやらなければ感染者も見つからない!コロナの感染者数押さえられてる日本凄い!

北方領土の交渉は今後一切しないと断言され、北方領土の呼び名使用まで禁止された?アーアー聞こえない聞こえない日本の政治の外交力凄い

慰安婦に南京大虐殺?そんなもんなかったけど?

日本に人種差別?そんなもんありませんけど?

実例は枚挙に暇がない。

 

目の前にある不都合な事実を無かったことにして綺麗なフリ、大丈夫なフリ。

あるべき必要な事実が無いのに、あったことにして綺麗なフリ、大丈夫なフリ。

どこを見ても「 本当はどうなのか 」から逃げ、それらしく取り繕うことだけに気を回す。

現実を直視しないということは、直視しなくても何とかなる余裕があるということ。

経済が豊かであればどうにかなるという話ではないが、不景気の拡大が止まらない以上この傾向はますます大きくなる。

そして皺寄せは社会的に弱い人たちへ。

その弱い人たち、皺寄せを食らう人たちの範囲がどんどん拡大して行ってる。

そのうち現実を直視せざるを得なくなる。

 

誰々さんが言ってたから、テレビがそう言ってたから

自己責任自己責任自己責任自己責任

全ては素晴らしいのですひたすらポジティブな想像をして感謝するのですそうすれば幸運がやってくる

ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう・・

お布施するぞお布施するぞお布施するぞお布施するぞ と何も変わらない。

 

ピアニストのキーシンは旧ソ連から別の国に移った。

私は日本からドイツへ。

日本は共産国ではないけれど、何となく分かる。

最近プーチンを激しく批判してきた政治家が毒を盛られた事件についての記事 のテーマ

Die Botschaft lautet: Wer ausschert, kann der Nächste sein

これは「 集団からはみ出るやつ、お前が次の番かもな」というメッセージだ

ロシアは政治体制が大っぴらにそうだけれど、仮にも民主主義国としての日本では?

このメッセージ、「 出る杭は打たれる 」に類似してもの凄い既視感がないだろうか?

 

極端な個人主義の私が言うのも変だけれど、個人で出来ることには限界がある。

人は置かれた環境に必ず多大な影響を受ける。

特に現実世界に生きている以上、現実生活の枠組みとして機能するその国の政治体制に。

皆大丈夫なつもりでいて、もう完全に巻き込まれているよ。

飲み込まれている。

いつになったら気付くのだろう。

 

私がここで書いていることは皆さんには極端に映るかも知れない。

私も何度も自問した。

私の考えはおかしいのではないかと。

こういう視点を持つ人はごく少数派だというのも分かっている。

しかし日本という国の奇妙さに気付いた311以降、国の状態は加速的にマズイ状態になっていて

「 臭いものに蓋 」派の人たちが頑張ってそれらしく取り繕ろおうとしても、それが無理になってきている。

あらゆる分野から綻びが出てきて、それらがもう隠し切れていない。

 

この記事 ↓ で紹介したアルケミストという本で、世界を旅して生きたいという息子に父が掛ける言葉

冒険者と羊たち(1)
「 旅人たちは私達の土地を見て、自分もずっとここに住みたいというんだよ。 」 「 でも僕は彼らの住む土地を見たいんです。彼らがどうやって生活しているかも見たいんです。 」 ( 中略 ) 「 これはある時野原で見つけたものだ。これをお前に残す...

いつかお前にも、私たちの田舎が一番良い場所で、ここの女性が一番美しいと分かるだろう。 

父親は少年を祝福した。

少年は父親の目の中に、自分も世界を旅したいという望みがあるのを見た。

それは何十年もの間飲み水と食べる食糧と、毎晩眠るための一軒の家を確保するために深くしまい込まれていたものの

まだ今も捨てきれない望みだった。

 

この父親の話はここで綺麗に終わっているけれど、日本ではこの醜悪バージョンをここ数年で頻繁に目にするようになった。

外の世界を知らないことは恥ではない。

でも「 自分のいるこの世界しか知らない 」ということにふと不安を覚え

ここが世界のどこよりも最高なのだと何の根拠もなく主張し始める。

それだけならいい、無害だ。

日本凄い、日本万歳。

実際はそれに飽き足らず、近隣諸国、特に2か国を殊更に愚弄し始め外国人差別が蔓延し

ヘイト本が本屋に並ぶことも珍しくなくなっている。

これは駄目だ。

それらの国に行ったこともなく、それらの国の人とまともに会話をしたことすらないにもかかわらず

ゴミみたいなテレビ番組やネット情報の尻馬にホイホイ乗せられ、洗脳され、まるで何でも真実を知っているかのように勘違いし

挙句の果てに訳の分からない似非スピリチュアルを絡めて

「 日本だけは今後世界で唯一救われる、後の国は全部落ちていくだけ。何故なら日本ほど信心深い国はないから」などと言い始める。

( 例えばヨーロッパの国々がどれだけ信心深いと思ってんの!?あなたが恐ろしく無知なだけでしょう?という話なんですけどね )

 

まだ若い内は仕方ない。

けれども ある程度大人になった以上、無知は怠惰である と私は思っている。

実際に外国に住んでみなければ分からないこともあるけれど

自分の置かれた環境

世界の流れの中の日本はどうなのか

日本という国の機能システムはどうなっているのか( 社会の時間に習ったけどね )

そのシステムの中で自分の置かれた位置はどこなのか

そもそもそのシステムはちゃんと機能しているのか

何がどう機能していないのか など

その辺は調べる気があればいくらでも調べられる。

それこそ共産圏で情報遮断されているわけではなく、最低限の英語だって中学生で身につけられる。

辞書を引きながら外国の情報を得ようと努力することは、本来は誰にでもできること。

特権階級の人に限定された話じゃない。

全ての人に門戸は開かれている。

 

といった話も、通じる人は殆どいないというのも知っている。

私がここで書いているのは

「 自分の人生を粗末に扱わない、棒に振らない、どうでもいい何かに食い物にされない、そして自分の人生にまともに向き合うということ」

に他ならないのだけれど

多くの人は単純に、海外出羽守のマウンティングくらいにしか捉えない。

そして知らないということのコンプレックスから( 注:もう一度言うけれど知らないことは恥ではない、知ってしまえばいいだけなのだから )

HAHAHA~分かってる分かってる知ってる知ってる(笑

そんなに意識高く生きなくてもいいじゃん♪

だって日本は( 他の国に比べて )凄いんだぞ!

とやっぱり臭いものに蓋をして現実逃避に走る。

 

今日書いたような内容について、始めは本気で心配し祖国の同輩に声を上げていた人が

どうもやっても全く伝わらないと気づき

やがて日本という国を諦めて何も警告を発しなくなる、という場面を沢山見て来た。

彼らは自分の置かれた位置を現実的に正確に把握しているので、外国で着実に足場を気付き生活する。

私はというと優先順位第一は家族で、私が日本国籍を持っていることで家族に迷惑が掛かるようなことがあるなら

国籍を変えることくらい何でもない。

それに関しては既に調べてあるし、簡単な試験合格と書類を提出すればドイツ国籍が取れるのも分かっている。

なのに何故こんな長々「どうせ伝わらない話」を書いているのかというと、やはりどこかで私は日本という国と繋がっているからだと思う。

私は別の国籍を取って日本と切り離されて安泰、でもじゃあ日本に残された人たちは??

というところをどうしてもスパッと切り離せずにいるのだと思う。

 

人の人生も国家の行く末も長い目で見て、現実逃避と誤魔化しから好転することは絶対にない。

 

Vincent Van Gogh. The Novel Reader. 1888 知識と知力は身を助ける

 

 

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