Augustin Hadelich/アウグスティン・ハーデリヒ in ドレスデン、そして土局潤下格

自分の言葉で語らないと、本当に伝えたいことは伝わらない。そしてその言葉がどれくらいの濃度で“自分の言葉”になっているか、というのも人によって違うもの。

それは楽器も同じで、私の好きなバイオリニストのアウグスティン・ハーデリヒ/Augustin Hadelich氏は楽器で語る内容がもの凄い濃度の“自分の言葉”なのですよ。隅から隅まで1㎜も誤魔化すことなく全部自分の言葉。ぴっちり丁寧に。

行って参りました、週末に彼を聴きにドレスデンまで!
Semper Oper/ゼンパーオーパーというドレスデンのオペラ座が会場だったのですが、これがまた楽しみで。
(写真、右半分が足場で覆われていて残念。)

今年はどうしても彼をナマで聴きたかった。なのでわざわざ飛行機で馳せ参じたのですが、いや……行ってよかった。半年以上前にチケットと旅行を準備した私、猛烈GJであります。
プログラムは前半がベートーベンのバイオリン協奏曲、後半はドボルザークの7番で、ベートーベンはちょっとびっくりするくらいテンポを落とした演奏でした。

何が良かったかって、たった1曲だったアンコール『タイスの瞑想曲』。
この動画ではご自身でピアノ伴奏もされていますが、アンコールではバイオリン1本でした。
このたった1曲だけでも、ドレスデンに飛んだ甲斐があったのです。

最後の聞こえるか聞こえないかくらいのピアニッシモが、時間に乗って、長く緩やかにのびやかに、少しずつ消えていくあの静けさ。それをこの会場を埋め尽くす全員が、最大の注意力を持ち、固唾をのんで、毛先の細胞まで全てを耳にして聴き入る。あの空間と時間が私は大好きなのです。これよりも極上の時間の過ごし方ってあるだろうか。

そう、私が音楽に期待するのはいつもこの『奏者の最上級の静けさ』。弾き手の最も柔らかくて繊細で、一番大切な心のうちを、これ以上ないくらい丁寧にそっと差し出される時間と空間。

演奏を聴きながら考えていました。

この究極に繊細なのに、大変な引力で、聴衆の意識を強引なほどに惹きつけ、でもあの世とこの世の境目にいるような不思議で独特な危うさを併せ持つ…これは天極星?彼は何だっけ…戊の人だった気がするけど、戊の子でも寅でも午でもないな。ん~~戊戌だったかな。確か土局潤下格っぽい命式だった気がする…

などと考えていたのですが。

そうだ、思い出した。戊戌の人じゃなくて、戊辰の華やかな人だった。
そして土局潤下格ど真ん中、しかも現在水の三合会局の大運なんだ!

これは…これは本当に難しい命式ですよ。
難しいというのは、色々とご本人にコントロールしようのない運気の落とし穴的なものが出てきてーそれも結構頻繁にー健康や仕事、家族や友人知人関係…どしゃんと崩れやすい。

この事故の時というのが、やはりそこだよねという時。(正確には1年早い、彼は現象が前倒しで出るタイプなのでしょう。)
そして今現在2024年~34年の大運はまさに増水した湖に浸かる山であり、正直ご本人は色々と苦しいはず。それもとても。
その苦しさがあの『この世とあの世の境目にいるような危うさと繊細さ』を表すような音になって、聴く者をひきつけてやまないのかも知れない。

『タイスの瞑想曲』はそれ自身がとても美しい曲なので、誰が演奏しても美しい。それを彼が弾くとこんなにも、この俗世にこの世のものとは思えない空間と時間を作り出すのかと。あの6分弱は本当に、大劇場が大入り満員だったあの人数、誰一人カサリとも音を立てず、皆の全身の細胞が彼のバイオリンにくぎ付けになって、最高の一体感でした。こういう一体感は初めての経験だったな。

またドイツに来ないかな?と思って彼のコンサート情報を見ていたのですが、9月に日本で演奏なさるじゃないですか!バイオリン好きな方は絶対に行った方がいいよ。一流の演奏家がEUやアメリカほど日本に来ないのは、やはり遠くて時差が大きいからなのですよね。なのでチャンスが来たら是非行くことをお勧めいたします。

本日もお読みいただきありがとうございました。

この10年、あまり辛いことがないようにご無事で、今後も素晴らしい演奏活動を続けて頂きたいなと思います。デュッセルドルフにも来てくれないかな。

余談:

この丸で囲ったところ、数字が出ているのですが、最初何だかわからなかったのですよね。日付でもないし…なんだ?と思っていたのですが、時計でした!
こういうの初めて見たなあ。

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