私は親友と安楽死について結構話したりします。
気兼ねなくそんな話ができる友人がいるって、いいよね!
で、昨日ドイツの安楽死についての番組を見たのです。
ここで観ることができます
↓
Die Story im Ersten: Sterbehilfe
番組には ペントバルビタール ( Natrium-Pentobarbital ) という
「 苦しみなく確実に死ぬことができる薬 」 を正式に国に許可してもらって医師の立会いのもとでの尊厳死を希望する
- 多発性硬化症の男性や
- 進行性の早いガンに侵された男性
- これまた多発性硬化症の女性
などが出てきます。
彼らは上記の方法での尊厳死を実現すべく、官公庁から要求されるがままにもの凄い量の書類
( かかりつけの医師による証言、精神鑑定結果、他 ) をもちろん自腹で
動かない体で周りの援助を得つつ大変な時間と労力を掛けて集めて提出するのです。
しかし
のらりくらり時間を伸ばすだけ伸ばされて
結果拒絶される。
その絶望感・・・
最初の男性は消防士をしていた27歳の時診断を下され、今では病気の進行で手を少し動かすにも介護者が必要。
この生活がこれほど苦しく情けない生活とは想像し得なかった
この状態ですら国から尊厳死が認められないと知っていれば
まだ体が動くうちに自分で人生を終わらせたのに!
と悔しさをにじませます。
悪化するしかないこの生活をこれ以上続けることにはもう耐えられないと。
番組ではインタビュアーが、献身的に介護をする家族や親族に
ご本人が尊厳死を望まれる時、あなたは手助けをしますか?
( 物理的に本人は体が動かないので死ぬのも助けが必要 )
と言った核心に迫る直球質問を投げかけたりもします。
この安楽死・尊厳死というのは 誰が個人の死を決定するのかという倫理上の問題 だけではなく
法治国家の在り方に関わる案件 でもあるのです。
この番組では、当の安楽死希望者 のみならず 法律家や 国会議員
安楽死が合法化されている スイスで既に500人以上の安楽死に立ち会った女性医師などの意見も出てきます。
その中で印象的だったのは、多発性硬化症の女性。
彼女は安楽死合法化に反対 なのです。
何故なら
それが合法化されることで
自分のような社会に世話になるだけの重病人は生きる価値がないんだから、さっさと安楽死すれば?
という恐ろしい空気が社会に蔓延するのではないか
と。
なるほど、この視点はなかったわ・・と思いましたね。
正直、私はそこまで想像が追い付いていなかった。
そして
誰かの “ 重病から来る恐怖、苦しみ、孤独 ” などへの対処法が
「 じゃあ死ねばいいじゃないか 」 というような社会であってはならない
と言う議員
いやいや、そんなのは綺麗事の偽善だと考える弁護士
自分の国では合法化しないのに、安楽死の薬の製造は許可して国外に販売するドイツという国の矛盾を突くスイスの医師
など様々な角度からの見解が纏められた、短いながらも非常に良い番組でした。
安楽死については大変興味があるので、果たしてオランダやスイスのように合法化された国で外国人も申請出来るのかなど、今後も調べてみたいと思います。
ちなみにドイツ人である夫の祖母は、夫の祖父 ( つまり祖母の夫 ) が病気で管に繋がれ、意識不明の回復の見込みのない状態になり
- それを継続するのか
- 繋がれた管を取って速やかに向こうの世界に送るのか
の選択を迫られた時、迷わず後者を選ばれたようです。
祖父は戦争から無事に帰ってきて、その後も元気に社会で活躍なさったようですが
やはり戦争で生死の境目を毎日のように目の当たりにしていた世代は、その辺の判断の感覚が私達とは違うんだろうね、という話を夫婦でしました。
Fontainebleau Forest, 1865 Claude Monet
コメント
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>しぇりふさん
そういえばそのテレビ番組ネットでも話題になりましたよね?私は見ていないのですっかり忘れていましたが、そうか、日本人でも利用された方がおられるのですね。確かその方はアメブロでずっと病気の進行過程を記録されていたような。
ドイツの番組を見て、日本でこういう流れになったらそれこそ「安楽死があるんだから重病人は~」の流れになるだろうな、と思いました。即座に。日本はまだこういう議論をするまでに社会が成熟していないのかも知れませんね。
現実から目を逸らす甘言にばかりこだわらず、こういう重要なことをもっと真剣に考えられるようになればいいですが、日本ってそういう議論嫌われますものね。
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>ゆにさん
お寺も変わっていくでしょうね。お寺さんの家庭は大変でしょうが・・
0葬でも空海さんは怒らないと思う。
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スイスではディグニタスとライフサークルという団体が外国人も受け入れているようです。
日本人でも難病の方がスイスで安楽死をされました。何回かの自殺未遂の後、自力での自殺は無理だと悟りスイスの団体にメールで交渉しお姉さんと一緒に渡航されました。(独身の方です)
その様子が今年6月(だったかな?)NHKで「彼女は安楽死を選んだ」という番組として放映されました。
かなり賛否両論が起こりました。彼女が死ぬその瞬間まで映っており、あんなに楽に死ねるなら死にたいという人が増えるんじゃないかと言われたり、難病や障害のある方たちの尊厳が蔑ろにされているとして、難病や障害の当事者団体からNHKに抗議もありました。
おそらく日本で議論は進まないのではないでしょうか。個人主義が尊重されにくいですもんね。
あの人は安楽死したのに、あの人は死にたくないらしい。みんな安楽死選んでるのにあの人は周りの迷惑を考えていない!という意識を持ちやすい国民性があるように思います。
それぞれの死生観・人としての尊厳を尊重できる社会になっていないとこの制度は難しいですよね。
私も安楽死はぜひとも議論して欲しい。実現は難しくても、自分がどう生きるかどう死ぬか(死ぬ事を考えるというのは、すなわち生きる事を考えることだと思うから)、多くの人が考え尊重できる世の中だと良いなと思います。
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リブログ先の記事、それからコメントにも、共感する点が多く、お墓に対する意識は確実に変わってきてるんだなあと思いました。カーシェアが普通になっている時代ですし、残された人が故人を偲ぶ方法として、場所や墓石を所有する必要はないことに気づいたのかも。
私も環境と後の世代に負担のない方法希望。0葬いいですね。
お寺も変わっていくんだろうなと思います。