【 広告 】

映画『密偵』とラヴェルのボレロ、そしてまた庚申(2)

 

昨日の記事の続き、ネタバレ注意

映画『密偵』とラヴェルのボレロ、そしてまた庚申(1)
『 密偵 』という映画を観たんですよ。( 以下ネタバレするかも知れないのでご注意を ) 始まってすぐ思いましたね この映画の監督は Road to Perdition 絶対大好きに違いない! ...

 

この映画、日本支配からの自由と独立を夢見て密かに活動する朝鮮一般市民の抵抗勢力のお話なのですが

あれこれ画策したり、裏切り者が出て日本側に秘密や計画が筒抜けになっていたり

そのせいで仲間の多くが捉えられ拷問され尽くしたり、亡くなったり、反対に向こう側の人間を味方につけたり

あれやこれやの流れの後、日本の要人が集まるパーティー会場を爆破することに成功する。

 

まさにこのシーン、爆破まで持って行く流れで使われるのがラヴェルのボレロなんだよ。

ああああああ

ここでラヴェルのボレロ持ってくるのか!

すごいな!!

と思いましたよ。

 

フランス人作曲家、モーリス・ラヴェルさん、戊辰

 

私は昔、ウィーンフィルでこのラヴェルのボレロを聴いたことがあります。

この曲は皆さん耳馴染みの曲というのもありますが、それぞれの楽器がミルフィーユのように少しずつ薄く重なりながら

一定のテンポで確実にクライマックスに進んで行く、あの『 くるぞ、くるぞ 』という皆で聴き入りながらのワクワク感。

そして最後全部の楽器が出揃ってからはもう大盛り上がりのパーティーみたいになって

大きな花火大会のフィナーレみたいな感じに空間に色とりどりの音と空気が炸裂し合って終わるのですよね。

もちろんコンサート会場では皆大喜びで、終わった瞬間にスタンディングオベーションの嵐

最も拍手喝采を浴びるのは、それぞれの楽器担当者が立ち上がってお辞儀していく中

曲の最初から終わりまでずっとこの

てっ ててててっ ててて てってっ

てっ ててててっ ててて ててて ててて

 

のリズムを刻み続けたスネアドラムの人。

 

この曲は有名で分かりやすいのもあって、コンサートでは必ず盛り上がる曲目です。

が、その盛り上がりは毎度カラーが違う。

どのオケか、どの指揮者でどの会場か、どの季節でどこの国、街なのかなどはもちろんですが

そういった分かりやすいところだけでなく

何より会場にいる人全てが一人も欠けることなくそこにいるからこその、その盛り上がり。

その時のクライマックスには、そこに居合わせる誰一人欠けてははいけない

もっと言うと、それぞれがその日いつ起きたか、何を食べたか、誰と来たか、どんな思いを抱えていたか

みたいな細かいところまで全てがぴっちり混ざり合ってこそ実現できた、その時のクライマックスなのです。

この映画の(音楽)監督は、そこまで分かった上でこの曲をこのシーンで採用しているのではないかな。

 

それはつまり

爆破という目的達成までの流れにどんなに些細な形ででも関わった全ての人がいてこそ、爆破成功というクライマックスが実現できた。

それらの人々の存在や行動が一つ一つミルフィーユのように重なっていき、最終的に大きな出来事を実現するに至る。

その誰もが絶対に欠けてはいけない重要なパズルのピースで、目に見える行動を起こした中心人物たちだけではなく

例えば頑張ったのに失敗した人たち、命を落としてしまった人たち、寝返った人たち、メモを渡しただけの人ですら

その歴史を紡いだメンバーの一人だった、というメッセージの暗喩に他ならない。

でもこの曲をよく知る人にとっては、暗喩どころかど直球すぎるメッセージ

 

爆破されるパーティー会場

 

実際このシーンの後で、以下のようなメッセージが流れます。

たとえ失敗があったとしてもそれすら前進の一歩になる。

失敗だって我々が前に進む時に必要な足元の床と同じくらい意味のあるものなのだ。

 

韓国の歴史を眺めると(詳しくはありませんが)、混乱と近隣諸国による略奪、蹂躙に耐えた時期が長すぎる。

半島の人にとっては国の独立、そして何より自由と平等、人権の尊重はずっと喉から手が出るほど切望した悲願だったでしょう。

今ある韓国の自由は、独立と自由のために命を賭けて戦った歴史上全ての先人のおかげであり

悲願達成に関わった人は誰一人として存在も行為も無駄ではなかった、無駄死になんてなかった

我々(=半島の人)はそんな彼らの一人をも忘れていない

そんな先人に一人残らず敬意と感謝を表明する

という趣旨の作品であり、もっと言うと実はこれは映画という芸術作品の形を取った “ 先人への供養 ” なのではないか

と思った次第です。

 

まだ少し続きます。

 

応援ありがとうございます♪  にほんブログ村 その他趣味ブログ 占いへ

 

+32

コメント

タイトルとURLをコピーしました